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2019年3月 第143話 番付VSランキング

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一昨年の春の番付のお話が意外と好評でお客様からリクエストがありました。
単純に過去のものを表記しても面白みが無いので現代あるランキングと似たテーマの番付を探し比較してみようと思います。
最初は「名所観光地対決」から始めます。
江戸の番付「東ベスト4は富士山/松島/出羽象潟(きさがた)/日光山/」で「西ベスト4は琵琶湖/天橋立/宮島/日向霧島ヶ嶽」
現代のランキング1~8位は「京都/富士山/屋久島/知床/小笠原/奈良/日光/宮島」である(1760年と2011年の比較)
出羽象潟は芭蕉奥の細道の最北地、霧島ヶ嶽は宮崎霧島連山の事である。
世界遺産「富士」は今も昔も不滅だ。江戸の番付の行司役は東海道/西海道など街道がなっており整備された街道が観光の原動力だった事が想像できる。現代は更なる交通の発達で屋久島/小笠原等が上位に来るのが面白い。

次は日本人にとって不可欠の存在「温泉対決」だ。
2013年じゃらん人気温泉地ベスト10では「箱根/湯布院/草津/登別/黒川/道後/指宿/有馬/下呂」 
1855年の(歌川広重の描く名所図会の時代)「東ベスト5は草津/那須/諏訪/湯河原/伊香保」「西ベスト5は有馬/木野崎/道後/阿蘇/別府」となっている。新しく開発された温泉以外は昔から存在する訳だが、昔の温泉は湯治目的、現代は湯治<行楽娯楽(景観食事)目的となっている為の変化みられるのではないだろうか。

さて3つ目は「憬れの職業対決」とする。江戸時代の番付は時代は不明だが、一番儲かる商売は何かを大阪の版元が作った物をご紹介。
「東ベスト5は米屋/唐物屋材木屋/木綿屋/漬物屋」「西ベスト5は両替屋/造酒屋/炭屋/質屋/青物屋」
米経済の時代で米屋がNO1は納得であるし同じく1位の両替屋も現代の銀行と考えるとこれまた納得する。これに対して現代は小学生1年生の将来なりたい職業を対比してみた
「男の子ベスト5は運動選手/警察官/アニメヒーロ/運転手/消防士」「女の子ベスト5はパン・ケーキ屋/芸能人/保育士/花屋/看護師」であった。何と男女共に1位は15年連続トップだそうだ。生活必需品の数だけ商売があった江戸時代任期は儲かる商売だが、現代は夢が職業選択のキーポイントのようだ。
さて最後の比較は「ご飯のおかず対決」はどうだろう。
江戸からは「野菜豆類の精進方ベスト5は八杯豆腐/昆布油揚/きんぴらごぼう/煮豆/ヒジキ白和え」「魚類方ベスト5はめざし鰯/むき身切干/芝エビから炒り/まぐろ辛汁」江戸の特徴は何と言ってもそのヘルシーさと簡便さ、せっかちな江戸っ子にぴったりだったのが腹が減った時すぐに食べられる気軽な屋台料理、今で言うファストフード蕎麦/寿司/天婦羅なのはご存じの通りだが、1位の八杯豆腐は言わば江戸の家庭のインスタント食品で豆腐を水6酒1醤油1の割合で煮た物である。
2012年nifty調べの人気おかずベスト10は「明太子/漬物/生姜焼き/塩鮭/納豆/焼肉/生卵/餃子/味噌汁/豚カツ」だそうだが、肉食が主流となり洋食偏重と言う予想に反して江戸より食されていた伝統のおかずが半分も入っている、やはりご飯に合うものは和のおかずなのであろう。