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2001年7月  第12話  「蕎麦つゆ」のお話 その4

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「蕎麦つゆのお話その4」は関東と関西の蕎麦つゆの違いについてお話しいたします。
関東・関西の伝統的な汁を見ますと、材料・製法に明確な違いがございます。蕎麦つゆは、だし・醤油・砂糖というシンプルな材料の組み合わせによって作られるため、材料の違いは明確に味に現れます。関東では鰹節と濃口醤油、関西では昆布と淡口醤油を使うのが基本となっております。歴史的な食文化の違いもございますが、関東が主に「もりそば」を中心に発展したのに対し、関西では「かけそば・うどん」が好まれ、その結果、関東では「もりそば」用の濃厚な絡む汁が、関西では「かけそば」用の吸う汁が作られて参りました。だしに使う鰹節にしても、関東は汁の口当たりを大切にしてカビ付けした「枯れ節」を使いますが、関西では鰹を煮て燻し乾燥させた「荒節」を使い、強い香りを出しています。製法の傾向としては前号でもお話しした「かえし」を作るか否かが最大の違いです。それぞれの中心となる蕎麦の違いが汁の違いを生み出したわけでございます。見た目の色の違いは醤油の違いと、だしの混合比の差でございます。昨今話題に上る塩分については淡口醤油の方が逆に若干多いのが真実でございます。
毎月つたないお話にお付き合い頂き誠に有り難うございます。蕎麦店の店主と致しまして皆様にお伝えできる一寸面白い情報がないかと言うことで始めさせていただいて一年余りがたちました。題材は毎日の仕事の中に数多く散らばっておりますので今後も皆様にお蕎麦の世界をお知り頂く「種」になれればと思っております。ご意見・ご質問、何なりとお申し付け下さい。