トップ > 店主の独り言 > 2002年10月 第27話  旬

hitorigoto_main.jpg

2002年10月 第27話  旬

一覧へ戻る

現在の暦は、日本が鎖国を解き西洋の暦を使用してから普及した物で、
今で言うキリスト教社会のグローバルスタンダードを取り入れてから1週間7日となりました。
しかしながら、日本には異なった日付けの単位が旧来よりあったと言う事は、衆知の事であります。
普段よく使われております、「これは今が旬だ」 「旬の食べ物が季節を運んでくる」と言う,
「旬」が正に日付けの単位であるというお話を或る国文学の先生からお聞きしました。
「旬」と言う期間は10日間。これが日付けの1つの単位であったそうです。
昨今のように一つの食材が
1年中出まわる様なことはなく、季節感に富んだ時代は、
松茸・秋刀魚は秋を告げ、牡蛎・鴨は冬を、鰹・筍は春を、鮎・穴子は夏を連れて私達の所にやって来ました。その時期を表す言葉として「旬」が、今に残っているのでしょう。
さて、お蕎麦も季節を告げる食材の一つで、
ご存じのように9月中旬がその第1回目の「旬」です。(これ以降獲れた時期・場所で翌年2月頃まで。)
江戸以来、私どもの先輩達は、お蕎麦に季節感を添えて、数々の種物(温かいつゆ蕎麦)やせいろを発明してきました。

冬の牡蛎そば・あられ蕎麦・鴨南蛮・柚子切りそば・磯切りそば。

春の白魚そば・深川そば・桜切りそば・よもぎ切りそば・若竹そば。

夏の穴子そば・笹切りそば。

秋の松茸そば・菊切りそば、はその代表的存在でございます。

当店でも、 日本の食文化の1つであるお蕎麦に、季節感は不可欠な物として、四季折々の献立を作らせていただいております。 日本の季節の風情としてご賞味いただければ幸いと思います。
お蕎麦のもう一つの楽しみ方を味わっていただけると確信しております。
最後に、余談になるかと思いますが、
物のさかりの10日間を「旬」と呼ぶことに関連して、旬の前の10日間を「はしり」松茸そば・菊切りそば、はその代表的存在でございます。
当店でも、 日本の食文化の1つであるお蕎麦に、季節感は不可欠な物として、四季折々の献立を作らせていただいております。 日本の季節の風情としてご賞味いただければ幸いと思います。
お蕎麦のもう一つの楽しみ方を味わっていただけると確信しております。

最後に、余談になるかと思いますが、
物のさかりの10日間を「旬」と呼ぶことに関連して、旬の前の10日間を
「なごり」と申します。
なんとも風情のある言葉と思いませんか。