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2022年1月 第157話 芝百年会

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平成28年6月27日当地港区芝地区に於いて代々商いを続ける老舗の会が発足致しました。
老舗の会の誕生の契機は、港区役所芝地区総合支所発行の芝地区地域情報誌で芝地区の老舗を探訪する記事が連載された事が発端です。芝地域情報誌編集委員らが世話人になり、掲載された老舗を発起人とし芝地区老舗の会が創設されました。その名を「芝百年会」:百年以上この芝でお客様に育てて頂いたお店の集まりです。新橋~虎の門~愛宕~芝大門~芝浦と東海道に沿った地域が芝地区ですが、神田で生まれ芝で育つと言われる通りの江戸っ子が闊歩したこの地にて百年以上の営業を続ける商家には「和」では蕎麦/寿司/鰻/佃煮/鳥料理/和菓子/酒屋と言った食の老舗を始めとし、時代を反映した刀剣/碁石/和釣竿/呉服と言った物販、そして百年前にはハイカラな「洋」の業種であった洋酒/乳製品/洋菓子/西洋建築金物/洋鞄/すき焼き/珈琲豆を商う店舗まで35軒が現在も営々と商いを続け沢山のお客様からご贔屓を頂いております。江戸の昔よりこの芝地区には増上寺・芝大神宮・愛宕神社や金毘羅宮などの高名な神社仏閣が多い地域であるばかりでなく、銀座の南端の芝口(現新橋一丁目)から当地(現芝大門一丁目)芝神明神社/浜松町先に到る日陰町通りと神谷町界隈を除き直参旗本の上屋敷が数多く配置された古い文化の地域でした、更に愛宕山の山頂や増上寺三解脱門の舞台は今でいえば東京タワーやスカイツリーの展望台の様な位置付けで江戸市中と江戸湾芝浦の海を見渡せる江戸有数の景勝地で有った事に加えて日本橋から品川へと東海道がその真ん中を横切る事でこの地は流行や文化の地方への発信地にもなっていたと言われております。昔からの地元の住人同士ですから顔馴染みの方や幼な友達も多いのですが、今までその連携は実現してはいませんでした。平成29年3月に区政70年を迎える港区の記念事業の一環として地域の伝統や歴史を普及し地域の活性化を目的にこの度結成されたのがこの「芝百年会」で、該当する店は35軒、スタートは22軒の参加で創設となりました。
地元への愛着とこの地の風土が生み出した気質や文化を皆様にも知って頂きたく近々HPでのPRも計画中です。


現在加盟の22店(創業順)は以下の通りです。
元禄年間の和菓子の「秋色庵大阪家」、天明二年の釣竿の「銀座東作」と佃煮の「新橋玉木屋」、
寛政三年の当店「芝大門更科布屋」、同十年の和服「丁子屋」、安政五年の「お可免寿司」と蕎麦の「能登治」、
明治に入って初年の乳製品「中沢乳業」、五年の洋酒「愛宕小西」と和服「明石屋」、十三年のすき焼き「今朝」、
十八年の和菓子「芝神明榮太樓」、二十三年の建築金物「堀商店」、三十三年の洋菓子「木村屋」、四十年の鞄の「三洋堂」、四二年の鳥料理「末げん」と和菓子の「芝乃寿堂」と刀剣の「日本刀剣」、大正に入って元年の碁盤の「中村碁盤店」と鰻の「鳥かど家」と和菓子の「新正堂」、七年の珈琲焙煎の「松屋」となっております。