トップ > 店主の独り言 > 2007年2月 第78話  そば猪口のお話

hitorigoto_main.jpg

2007年2月 第78話  そば猪口のお話

一覧へ戻る

最近テレビ番組で古美術品などを鑑定するのがブームになっているが、
雑器として使用されてはいるものの、立派に美術品としての価値を持つのが「蕎麦猪口」であります。

この「猪口」という言葉のルーツは朝鮮半島にあるらしく、語源はハングル語の「Chyongku」と言う言葉から来ているそうです。それ故に「猪口」の発音は「ちょこ」ではなく、正しくは「ちょく」と言います。

蕎麦猪口がいつ頃から実用化されたのかは、はっきり致しませんが、初めは蕎麦つゆを入れる器ではなく、酒器や湯呑みなどに使われさらには、酒の肴や惣菜を盛りつける器でもあったらしい。
湯桶同様途中から転用された道具と言う説が伝えられております。

蕎麦の発生と蕎麦猪口の発生時期は、ほぼ同じ頃だと言われておりますが、
そばが「そば切り」として普及した文化・文政(1804-1829)の頃には、地方の色々な窯で蕎麦猪口がたくさん作られていたようであり、江戸時代後期に書かれた「守貞漫稿」などのもりそばの口絵には、蕎麦つゆを入れる器として猪口が描かれていることから、少なくとも18世紀には現在のような用途に使用することが定着したと考えられます。

一般的な「蕎麦猪口」のスタンダードは直径12から13cm、高さ7から8cmの文様が染め付けてある白っぽい伊万里の磁器でありますが、他にも会津産、瀬戸産、などが多く使われています。
専門家によれば、その形、絵つけ、うわ薬の色などで、作られた時期や善し悪しをはっきりと区別できると申します。 「蕎麦猪口」はご家庭でもコーヒーカップや小鉢としてお洒落な使い方ができる便利な器です。