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2002年12月 第29話  変わり蕎麦の効能

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お蕎麦自体の効能は一般的にも知られる通り、
1つに、良性のたんぱく質が豊富であること、
2つ目に他の食べ物では摂りにくいビタミンB群やルチンが含まれていること、
3つ目に消化に優れていること、と言うように栄養的に大変優秀です。

さて、今年最後にお話しするのは
更科一門に代々伝わる「家伝変わり蕎麦」(当店では月替わりに季節ごとの風味を打ち込みお出ししております)は、その色、香りを味わって頂く他にも、それぞれ異なった医学的効能を持っているというお話です。言葉を今様に変えると「薬膳」とも言える一面を持ったお蕎麦が、「家伝変わりそば」と言うことに相成ります。 香り・色を付ける材料として植物の葉や実を主として使用するために、自然とそれぞれに含まれるビタミン・カルシウム・鉄分などの成分が、漢方の色合いを持って付加されたように思われます。正に「瓢箪から駒」のごときお話でございます。
しかしこう言った効能、栄養的に優れているからお蕎麦を食べたのでしょうか?
答えはNO!でしょう。
おいしかったから江戸以来食べられ続けてきたと言うのが正解だと思います。
結果的には、美味しくしかも薬効も持っているとなれば「鬼に金棒」と言ったところではないでしょうか。
月替わりでお出し致します家伝変わり蕎麦の効能を、 元禄八年に刊行された「本朝食鑑」なる食物百科事典から引用すると以下のようになります。


変わり蕎麦の効能

「卵切り蕎麦」 心を鎮め、肺を潤し、肝を補い、腎を滋う。
「茶蕎麦」   二日酔いが醒め、風邪の薬にもなる。
「梅切り蕎麦」 整腸、美顔。
「よもぎ切り」 熱を取り、腹中を温める。
「笹切り」 胃腸を整え、食欲増進。
「紫蘇切り」 解毒効力に優れる。
「山椒切り」   眠気を覚まし、口臭を消す。
「羅漢果切り」 喉の痛みを癒し、滋養に富む。
「生姜切り」 体を温め、血行を促進する。
「青海苔切り」 喉の痛み、脚気に効く。
「柚子切り」 消化を助け、毒を消す。