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2003年8月 第37話  蕎麦の生産量と産地

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今月は「新そば」が始まる月です。
そこで現代日本の蕎麦事情というテーマで玄そば(蕎麦の実)の生産量と産地についてお話しさせて頂こうと思います。

平成8年度の調査で、国内産の玄そばの収穫量=生産量は約2万トンです。
これは明治31年の13万4千トンをピークに減少の道をたどり昭和55年度にピーク時の12%の1万6千トンまで落ち込んだものを復調させたものであります。
現在、復調の兆しがあるとは言え国内使用量は約12万トンにのぼり、残り10万トンは輸入。
国内産比率(自給率)は、わずか20%にしかすぎません。
簡単に申せば、10店の蕎麦店があると8店が輸入蕎麦粉で、2店しか国産蕎麦粉が使われていないと言うことになります。 製粉業者の方でも昔からの老舗のお得意先にしか国産品をまわせない訳です。
しかし国産と輸入は約3倍の価格差があり、立ち食い蕎麦店や、一般店では国産品を使い切れないのも1つの事実であります。

近年、外国産も品質は急激に向上して来ましたが、物理的に時間的に風味、色、香りの店で国内産が優れていると私は考えます。それ故に国産蕎麦粉にこだわっているのだと思います。
さて、皆様はそばの産地というとどこを思い浮かべますか?
 「信州信濃のそば切りよりも、わたしゃあなたの側がよい 」ではありませんが、
ほとんどの日本人は信州・長野県を連想される方が多いようですが、現在の状況はちょっと違います。
ほぼ日本全土で栽培が可能なそばは事実、戦前までは全都道府県で収穫されていましたが、現在では限られた地域で集中的に栽培、収穫されるようになりました。
収穫0は、三重、大阪、奈良、和歌山。100トン以下の収穫が、18都府県。
反対に500トンを越えるのは10道県、と言う現状になっております。

国内主要産地は第1位が北海道で7千トン、2位が鹿児島3千トン、3位は茨城千トン。
以下栃木、福島、長野、岩手、宮崎、秋田、青森が10位までとなります。
特に北海道はここ5年で収穫を2倍以上にのばし、全国産量の37%を占める勢いです。
北海道に九州をたすと全体の60%。さらに東北6県をたすと約80%に達します。
一方使用量の80%(10万トン)を占める輸入品の方は、年々増加の一途で、輸入先第1位はダントツで中国の8万5千トン、2位がアメリカで1万トン、3位がカナダ5千トンとなっております。
その他に、豪州やニュージーランドが少々ございます。
毎年、全国製粉組合の依頼でテストをしますが、北米2国が近年熱心さを増している気がいたします。