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2003年9月 第38話  お蕎麦の世界

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一口にお蕎麦と言ってもその形は千差万別です。
そば粉を練った「蕎麦がき」、麺帯に仕上げた「蕎麦切り」、焼き上げる蕎麦パンケーキ、等々。

蕎麦切りだけをとっても「乾麺」、スーパーマーケットや立ち食いそば店で見られる「茹で麺」、「冷凍麺」。
そして蕎麦専門店で出される「自家製麺」と様々です。

世界を見回してもそば粉は広く食されています。 東欧・中央アジアでは、砂糖や牛乳を加えこね上げた「カーシャ」と呼ばれる物が日常品として食べられているそうです。そば粉は消化が良く、栄養価に富んでいるだけでなく,味・風味がよいので人種、民族の枠を越えて好まれているのだろうと思います。

さてお話を日本に戻して「蕎麦切り」の世界も大変バラエティーに富んでいます。
形状では「太打ち」「細打ち」、色彩でも黒い「田舎」、白い「御前更科」、 他の食材を混ぜ込んだ「色物変わり蕎麦」と見た目も味も非常に差がございます。
さらに、13話・14話でお話ししたようにそば粉と小麦粉の割合による違いが加わると誠に多種のお蕎麦が生まれて参ります。これら多種類のお蕎麦を味わって頂くことによって蕎麦の世界の広がりを少しでも感じて頂ければ、 蕎麦店の店主として無上の幸せでございます。 特にお子さま方には日本の伝統的な味としてしっかりした本物のお蕎麦を味わって頂きたいと切に願っております。


「しっかりした本物」とは一体どんなお蕎麦か? 

手前どもが考えます「本物」とは第一に厳選された蕎麦粉です。産地を指定した上で安定した保存状態を維持することを大切にしております。

第二はしっかりとした「水回し」(蕎麦粉を水でこねる技術)。

第三は俗に「三たて」と言われる挽きたての粉を使い、茹でたてをお出しすることと確信しております。

ちなみに「三たて」の中の打ち立ては全くの嘘で、打ち立て・切りたてのお蕎麦は絶対茹でてはならないと言うのが代々伝わる口伝です。打ち立てなどと言って自慢するのはプロとは申せません。
おいしいお蕎麦をお出しするためには、打ち上げてから2、3時間は寝かせる必要があるのです。

当店でお出しするお蕎麦はお客様に少しでもお蕎麦の世界の広がりをお知り頂きたいと言う考えから
「生粉打ち」「御前更科」「変わり蕎麦2種」「二八蕎麦」の5種類を販売させて頂いております。
是非、ご賞味頂だきお蕎麦の世界を覗いて見て下さい。きっとお楽しみ頂けると思います。