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2004年7月 第48話  店主の悩みその1

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そば屋の悩みも数々ありますが、蕎麦切りの原料「そば粉」は終わり無き悩みであります。
勿論なにもそこまで考えずデコレーションの意味でなさるお店もありますが・・・
昨今自家製粉をする蕎麦店が増えてきたのもその一例と思われてなりません。
美味しいお蕎麦をお出しするためには蕎麦打ちの技術は不可欠ですが、原料の選別はそれ以上に必要な事と思っている店主は私だけではないように思えます。

蕎麦屋の店主の会合では必ずと言っていいほど「そば粉」の話に花が咲くのです。
最近、老舗の旦那衆は異口同音にそば粉の挽き方を問題にしつつあります。
原料となるソバの違いを生む最大のポイントがそこにあります。
国籍・産地以上にいかに丁寧に、いかに正しく挽くかがそばの生命線と思えます。

現在の日本国内では挽き方は2つに大別されます。
1つは「石臼挽き」もう一つは「機械ロール挽き」であります。両者の決定的な差はその時間です。
石臼は正しく使うと1時間に2kg程度しか挽けないのに対し、機械ロール挽きは100kg近く挽くことが出来てしまいます。一寸考えるとお分かりになると思いますが、昔は全て石臼の手挽きですから自ずとどちらがいいかお解りになると思います。

現在当店も全国各地から石臼挽きのそば粉を取っていますが、挽き方にもっと注文を付けて,言うなれば当店独自のブランドを作っていただく方向を模索しております。
自家製粉をすればいいのですが場所的問題や衛生面でやはり「餅は餅屋」専門家にお任せするのがベストかと考えます。あとは当店1店のために作業工程が増え生産性が極端に落ちると言う事をどがえしし製粉業者がその意向を飲んでくれるかどうかの段階です。

少し専門的になりますが、目指すそば粉は石臼をよりゆっくり回し、投入する実もほんの少量ずつ、さらに丁寧にソバの実の93~95%まで挽き込み、その上で細かいふるいで篩ったそば粉です。
この様に挽き、篩うとしっとりしたそば粉となりごつごつ硬い食感でなくふんわりと滑らかな舌触りのそばを作る技術を一層生かせるものとなるばかりでなく、そば汁によりからむそばとなると確信しております。
コストもかかるでしょうが、出来たそばの違いは大きなものになると考えていますので、乞うご期待を・・・
悩みというお題でしたが、難しい事ながら理想を求めることは楽しい事と思いつつ励む毎日です。
次回は最大の悩み「そば汁」です。