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2026年1月 第194話 干し椎茸

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旧暦で申せば新年となるのは2月ですが、本号が本年最初の独り言と相成りました。
今年は蕎麦屋の仕事の中から皆様のご家庭でもお使いになれる「干し椎茸」に関するお役立ち情報がスタートです。
日本では古くから精進料理の出汁として欠く事の出来ない物が干し椎茸ですが、材料となる椎茸の人工栽培の歴史は意外と新しく江戸時代以前は自生した椎茸に限られていました。人工栽培の方法が確立されたのも20世紀に入ってからで、その方法には「菌床栽培」と「原木栽培」が有ります。いずれの方法での栽培品かと言う事は表示が義務付けられています。
これは干し椎茸でも同じですがご存知でしたか?
さて「菌床栽培」とはおがくず等の木質材を人工培地として栽培するもの、「原木栽培」は1m程度に切断した広葉樹に種菌を植えて栽培するもので食味は原木栽培が良いとされています。蕎麦屋では天ぷらを除いては生椎茸を使う事は少なく、主に乾燥させた「干し椎茸」をおかめなどの種物(温かいお蕎麦)にそば汁をベースにした汁で煮込んで味を付けて使います。
そんな調理の方法から学んだ干し椎茸に関するお得情報が今回のテーマです。
まずは薀蓄篇:干し椎茸と聞くと出汁を想像される方が多いと思います、生椎茸より乾燥させた干し椎茸の方が出汁はよく出ます。
科学的には椎茸の旨味が閉じ込められている細胞膜が乾燥によって壊れやすくなり旨味が溶け出るのだそうです。
蕎麦屋では特に江戸からの老舗ではそば汁の出汁は鰹の本枯れ節と相場が決まっており昆布や干し椎茸を使う店は多くはありません。当店も出汁は鰹節一本でとります。
話を戻して先ずは干し椎茸の種類ですが大きく分けて二つ「冬菇(どんこ)」と呼ばれるかさが肉厚で味も香りも豊か、出汁もたっぷり出る高級品と「香信(こうしん)」と言うかさは開き肉薄で冬菇には劣る普及品、特徴は水戻しが早いが有ります。使用目的によって使い分ければ良いかと思います。ここからがお役立ち情報で戻し方編:干し椎茸の美味しさは水戻しの仕方で大きく変わります。
最適な戻し方は水に浸けて冷蔵庫に入れ、約24時間かけて戻す事です。常温の水ですと柔らかくはなりますが旨味を引き出す事が出来ません。冷水で長時間がキーワードです。旨味成分のグアニル酸が8倍にもなるとの分析結果もあります。
24時間とは肉厚の冬菇の場合の目安ですので肉の薄い香信だと少し短縮しても構いません。
もう一つの裏ワザは水戻しする前に15分程度でいいので太陽光に当てる事です。
この裏ワザでビタミンBが100倍に増えると分析・確認されています。笑い話にならぬ様、太陽光に当てる椎茸の部位はかさの裏側ですのでお間違いの無いように。