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2026年7月 196話 江戸の食暦(夏編)

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五節句とは無病息災や邪気を払う為の日として伝統的な年間行事を行う風習の事を意味し、五節供とも言います。
五節句が「五節供」とも言われるのは神前に供え物をすると言う節句の風習が由来だとされており「供(く)」は「お供え物」を意味しています。節句が食に深いかかわりを持つと言う訳で7月の代表は今回も五節句の一つ7/7の「七夕の節句」(本来はしちせきと読まれますが、たなばたは日本の伝説から生じたあて読みと言う事です)の行事食として知られている「そうめん」です。
天の川に見立てて食べると言う説もありますが、元々は七夕が中国から伝来した際に共に言い伝えられた「七夕に索餅(さくへい)を神様にお供えし無病息災を祈る」と言う風習があったそうで奈良時代に中国に伝わるねじり菓子である「索餅」がそうめんの起源とされています。また江戸以来、裁縫の上達を願って素麺を食べる風習も残っています。
今も昔も食欲の無くなる夏はそのつるりとした喉越しの良さで蕎麦と共に人気があります。七夕の節句で笹が邪気を払い、強い生命力と真っ直ぐに伸びる様から神事に使われるために別名「笹の節句」とも言われます。それに因んで当店の7月の変わり蕎麦は「笹切り蕎麦」です、材料に使う熊笹の粉は民間治療として胃腸病/糖尿病/高血圧/喘息/風邪等古来より万病に効くと言われます。
熊笹粉の仕 入れ先は現在「漢方薬店」と言う面白いお蕎麦です。

8月は食材ではなく二つの飲み物を取り上げます。
一つ目は定番の「麦湯」二つ目は冬と思われがちな「甘酒」です。江戸っ子は生水に対する用心が強く沸騰させてから冷たくした飲み物や、夏でもホットな飲み物を好んだそうです。炒った大麦を煮出し井戸水などで冷やして売られた麦湯は赤地に黒文字で「むぎゆ」と書かれた行灯が店の目印でした。麦湯には蕎麦と同じくビタミンB1がたっぷり含まれており、蕎麦が脚気予防になるのと同様、暑気あたり防止効果があったようです。後年砂糖も入った甘い麦湯も登場し、子供からお年寄りまで人気となりました。
二つ目の甘酒は幕末の記録によると「京・大坂ではもっぱら夏の夜だけ売られ一椀六文、江戸では年中売られ一椀八文」と記されています。店売り以外にも屋台で売られ値段は現在価格だと約120円~160円程度だったようです。甘酒は生姜のしぼり汁をたらして飲まれており、生姜の発汗作用で飲んだ後に瞬間的に汗が出ますが汗を拭きながら橋の上を歩くと、ひんやりとした川風で汗も治まるといった具合その後の納涼効果は高くなったとの事で夏バテ防止の栄養ドリンク的な感覚で飲まれた様です。
飲み物として庶民の人気を得た甘酒は、神社仏閣の境内や縁日や祭日の盛り場でも販売され季節の風物になりました。
この二つは江戸っ子知恵が生んだ健康法&納療法だと言えると思います。